不動産に関して言いますと、私自身は今まで駐車場、アパート、マンションを借りるばかりで、今に到るまで自宅以外に賃貸出来るような土地建物を所有した事がありません。
そうした境遇でいると、持たざるものの気安さもあれば、同時に不動産所有者にはそこはかとない羨望を禁じえなかったりするのも事実です。
不動産に対する感情は二つの面が合い半ばしているといったところでしょうか。
ですからどちらかと言えば不動産に対しては傍観者でした。
それが最近、ごく親しい人の間で相続が持ち上がり、その方はかなりの土地建物を親から相続される立場になってしまったのです。
その方自身は公務員をされていて、安定した身分とかなり高額の収入を国から得ていますので、その上不動産収入までは必要ないわけですが、ご両親が亡くなったのに合わせて給与所得とは比較にならないくらい多額の不動産収入と資産を相続されたのです。
私の境遇からすれば正直ただただ羨ましいのですが、その方からすると不動産管理は面倒くさくていやで仕方がないのだそうです。
それからしばらくの間、話の内容は不動産のことばかりでした。
それでその方から聞いた、不動産にまつわる嫌で仕方がない話を、少しばかりかいつまんで、皆様にお伝えしたいと思った次第です。
というのも、持たざる私が考えていたのとは確かに違う持てるものの煩わしさもある事が分かったからです。
煩わしさのまず第一に相続税があります。
これは相続すると本当にすぐにも払わなければならないものだそうです。
しかもキャッシュですから大変です。
実際、その方が税務署に納めた税金は、私が一生かけても払う事がありえないような、目の玉が飛び出るほどすごい金額でした。
次いで土地持ちになると、業者に混じって遠い親戚までもが、いろいろな土地利用にまつわる話を持ち込んでくるのだそうです。
肉親との死別で気持ちの整理も付いていないときにそれをされて、本当に嫌だったと振り返ります。
そしていよいよ現実的な不動産管理が始まると、店子全てがきちんと家賃なりと地代を納めているわけではない事が分かり、その催促もその方がしなければなりません。
とりわけマンション一階の一番大きな面積を占める店子さんは店の経営不振から長く家賃を滞納していて、催促に行けば払えない理由ばかりを並べられ、聞けばもっともであるだけに取り立てることを半ば諦めるしかない状態だそうです。
聞いていると、不動産は持てば持ったで大変なんだなぁと思うことが多々あります。
案外、何もない自分の方が気楽でいいのかもしれない、などと思うことも無くはない秋の夜でした。株式会社エスティプランニングでは熱海や伊豆の情報が乗っていたのですが、老後もとても静かに暮らせそうな物件が多かったので少し気になっています。